交趾焼き(こうちやき)を学ぼう!

交趾焼きを学ぼう! 日本の文化・伝統

交趾焼きのセミナーに行ってきましたので皆様にも情報を共有します!

交趾焼きって?

交趾は「こうち」と読みます。
まずは有名な作品をご覧いただきましょう。(すみません、全てリンクです)

重要文化財、交趾大亀香合

11代目永楽保全作、交趾写荒磯文水指

上記ご覧いただきましたでしょうか?
鮮やかな色合い、光沢が特徴的な焼き物です。

交趾の由来は?

交趾というのは元々ベトナムの辺りにあった国(地名)に由来します。紀元前2世紀、前漢の時代から「交趾」という記述が残っています。フランス統治下には交趾王朝があったという記述も残っています。
ただ、ベトナムに古くからある有名なバッチャン焼きとは似ても似つかないんですよね。

交趾焼きのルーツ

交趾焼きは元々中国、福建省広東省にルーツがあります。
明の時代(1368〜1644年)頃に三彩陶器華南三彩等の名称である焼き物が似ています。

じゃあどうして交趾焼きという名前になったの?

ベトナム辺りにあった交趾国では当時東南アジア最大の貿易港である安会(ホイアン)港というのがありました。16〜17世紀に日本では朱印状貿易を行っており、この時頻繁に安会(ホイアン)港に行っていた記録があります。
当時、中国の三彩陶器が交趾で貿易されて、持って帰って来る際にその名称で日本ではもたらされたということです。
当時の朱印状貿易で主に輸入していたのは絹、鹿の皮、香木、調薬等です。それに混じって香合を輸入し、「交趾香合」と銘打って売り出していたみたいです。
1855年、形物香合番付というのを茶道具屋や目利きが道楽で作っていた番付があるのですが、その上位は全て交趾焼のものでした。

ちゃあ
ちゃあ

尚、名古屋コーチンのコーチンも同じく「交趾」が由来です。

交趾焼きの特徴

鮮やかな色合い、光沢、そしてイッチン描きが特徴です。

イッチン描きって?

チューブの先から泥(正式名称:泥漿)を出して模様を浮き上がらせるように描いていく技法です。
イッチン=一陳です。
ですので、交趾焼きを手で持った際には模様の形に凹凸があるのが分かるはずです。

交趾焼きの弱点

傷がつきやすく、酸・汚れに弱いのが弱点です。
製造工程はこちらで紹介しますが、最終焼成の温度が色合いを鮮やかにするために他の焼き物に比べて温度が低いのです。温度が低いとそれだけ陶器の丈夫さが損なわれるので傷がつきやすくなるのです。
そのため食器として使いづらく発展しづらいはずなのですが、香合や水差しなど茶道具として発展していくことができました。
楽焼も同じく茶道があるから発展してきた焼き物です。

交趾焼きを購入したらまずすること

まずは器全体を水もしくはぬるま湯にひたしてください。
陶器には細かい穴が空いており、そこに汚れが入り込んでしまうと厄介です。最初に水を含ませることで汚れの付着を防ぐことがある程度できますので、まずは長時間水もしくはぬるま湯にひたしてください。

交趾焼きを使用した後の手入れのポイント

使用した後は洗い、布巾で拭いた後1日は陰干しをしてください。
その後は桐箱に入れて保管いただければ十分です。

交趾焼きの鑑賞ポイント

物によって異なります。
もし、細かい柄が施されているならば、イッチン描きの細工を見るのがよろしいでしょう。
逆に同じ色が大きい面積で塗られているものがあれば、全て筆で塗っているのでムラがいかにないか、均一を保っているかを見るのがよろしいでしょう。

交趾焼きの作品ってどのくらいでできるの?

物によりますが、1ヶ月半〜4ヶ月の中では大抵の作品ができあがります。
一般的なものであれば1ヶ月半くらいと言われることが大半です。

古い作品は使用するにつれて光沢がなくなる?

使用していれば光沢はなくなっていきますがその分その作品それぞれに風合いがでてきます。その風合い、味を楽しんで引き続き楽しんでいただければ良いのではないかなと思います。

最近の作品

最近の陶器は進化しています!耐熱性に優れて直接コンロにかけられる陶器もできています。
鉄に比べても軽いし、手入れは楽、中のものが冷めていくスピードも、鉄に比べて遅い等のメリットがあります。耐熱性に優れている陶器も内側を見れば陶器だと分かりますので内側まで見てみましょう!

交趾焼きで有名なエピソード

重要文化財、交趾大亀香合(藤田美術館所蔵)があるのですが、これは1912年に藤田傳三郎氏が当時9万円で落札。落札から10日後に亡くなってしまったというエピソードが残っています。落札してから一目でも香合を見たのでしょうか。(個人的には見たと思いますけどね)
尚、9万円は現在価格に換算して30億円にもなります。藤田氏は生前日本の文化、美術品が海外に流出するのを危惧し、日本の美術品を収集していた方です。彼の意思を感じに藤田美術館に訪れてみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました