交趾焼きを学ぼうシリーズの第二弾です。
今回は製造工程に着目してご紹介します。第一弾はこちら↓です。
交趾焼きの作り方
- ろくろ成形、水挽き
- 成形したものを乾燥させる
- ろくろ成形、削り
- イッチン下書き
- イッチン描き
- 本焼き
- 色付け
- 上絵焼成
- 必要ならば金箔、金彩を施す
- 完成!
他の陶器には素焼きという工程がありますが、交趾焼きには素焼きはありません。その代わりイッチンがあるのが特徴です。
それではそれぞれの工程を詳細に見ていきましょう。
ろくろ成形、水挽き
ろくろを使って今回作成したい器の形を整えます。この工程で器の中側の形は決まります。ただ、この先の焼きの工程で2割程大きさが縮みます。ですので、この時に完成時より2割程大きく作成しなければなりません。
成形したものを乾燥させる
早速乾燥させます。乾燥させ固くなってから、器の底部分を整えやすくするのです。
ろくろ成形、削り
作成した器を裏返し、底部分の形を削って整えます。
イッチン下書き
イッチン描きをするために分かりやすく下書きをします。この時の線がはっきりしないとイッチン描きができません。ですので下書きは分かりやすく!はっきりと!がポイントです。
イッチン描き
チューブ先から泥を出して下書きした模様を描いていきます。交趾焼きに適した泥は4種類あります。その時々に適したものを選定します。
尚、泥の正式名称は泥漿です。
本焼き
1200℃で焼き上げます。土が陶器になのに必要な温度は1200℃です。まずはこの温度で焼き上げます。
色付け
この作業が腕の見せ所です。焼き上がりは少し湿り気があるので、乾ききるまでに一気に塗らないとムラがでてしまいます。なので時間との勝負です。この時にいかに短い時間で均一に塗れるかで作品の質が決まります。
細かくカラフルな交趾焼きは絵の具の変える頻度や時間に取られるので、完成したらその色合いが見事になりますでしょう。逆に1色だけですと色ムラが顕著に分かりやすくなりますので、ムラなく塗れているかどうかが見どころです。
上絵焼成
色付けした絵の具を定着させる為に再び熱を通します。この時の温度は800℃と陶器としては温度が低めです。これ以上の温度にしてしまうと鮮やかな色合い、光沢が損なわれます。ですがこれ以上温度を低くすると今度は陶器としての丈夫さが損なわれます。その絶妙な塩梅の温度が800℃なのです。
交趾焼きの弱点として傷つきやすいという特徴がありますが、それはこの温度に由来します。
必要ならば金箔、金彩を施す
最後の仕上げに金箔、金彩を施します。金箔が不要の意匠であればこの工程はスキップして構いません。
完成!
最後、釜からあげて冷ましたら完成です!実際に触ってみてイッチンの凹凸を感じてみましょう!
交趾焼きの絵の具はどうやって作るの?
ガラスの粉に土を混ぜて顔料の原液になります。
カラフルな色合いで絵の具が多いかと思いますが、実は確立された3原色のようなものは存在しません。青みがかった紫や茶色よりの赤など絶妙な色合いの顔料から様々な原料を混ぜて新しい色を作っていっているのです。
最近は原料の確保も難しいので、これは!という原料を見つけたらある程度確保してしまうそうです。
今、存在しない色はあるの?
交趾焼きで現状ない色は主に薄い色です。藤紫色や鶯色などペールトーンの色合いの色があれば作品の幅は広がるようです。
新色ってどうやって作るの?
顔料を混ぜて新色を作っていきますが、正解がないのでこれが難しいそうです。
そもそも今、発色できる色の中でも顔料の割合が一定ではありません。赤を出すには3%、緑を作るには0.3%とかなり幅のある割合なので、正解を探すのが容易ではありません。
顔料を混ぜては実際に焼いてみてを繰り返し新色を探求していくのです。
作っていて失敗することがあるの?
新色を作っている時は失敗することも多いそうです。それ以外では発色をよくしようとすると絵の具の量を濃くする必要がありますが、あまりにも濃いと焼きの時に泡が出たりと失敗することもあるそうです。
交趾焼きについて少しは距離が近づいたのではないでしょうか。
皆さんも博物館などで陶磁器コーナーを見つけたら素通りしないで見てみてくださいね!
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