米国雇用統計(Current Employment Statistics)。アメリカの雇用に関する統計情報ってことですけど、それって投資と関係あるんでしょうか?
あるんです!!!
どうして関係あるのか、雇用統計ってなんなのか学んでいきましょう。
米国雇用統計はなんで注目されているの?
そもそも名前からアメリカの雇用情報の統計なんだろうなぁ、というのはお分かりいただけるかと思うのですが、なんで注目されているのでしょうか。
アメリカは世界のGDP(国内総生産_Gross Domestic Product)の約20%を占めており、世界最大です。そのアメリカ経済の70%を担っているのが個人消費です。
アメリカの経済が良くなるか悪くなるかは、個人消費が増えるか減るかにかかっており、個人の雇用の情勢を表わす米国雇用統計は、その動向を担う重要な指標なんです。
消費ってお金がないとできないですよね。そしてお金は働かないともらえない。
そんな訳で雇用統計が景気の鍵を握っているのです。
雇用統計がどうなると、経済はどうなるの?
アメリカの中央銀行にあたる米国連邦準備理事会(The Federal Reserve Board)は、金融政策の決定にあたり、この「米国雇用統計」を重要視しています。
FRBの金融政策では、一般的に景気が良いと政策金利を引上げ、景気が悪いと政策金利を引下げます。
このFRB的な景気の良し悪しは、雇用統計を指針の一つにしているのです。
雇用統計 | 個人所得 | 景気 | FRBの金融政策 | ドル相場 | 株価 |
改善 | 個人消費増加 賃金増加 | インフレ率 上昇 | 政策金利 引き上げ | ドル買い | 安 |
悪化 | 個人消費減少 賃金減少 | インフレ率 下降 | 政策金利 引き下げ | ドル売り | 高 |
FXにおける影響
FXの場合は、引上げが行われた場合、市場金利が上がるために高い金利の通貨を買いたい投資家たちのドル買いが起こる傾向があります。
一方、引下げが行われた場合、市場金利が下がり低い金利の通貨は手放したい投資家たちのドル売りが起こる傾向があります。
株価における影響
前の記事でも記載した通り、金利が上がると株価は安くなる傾向があります。
雇用統計はどこで見れるの?
これで米国雇用統計がなんで重要かはお分かりいただけかと思います。
じゃあ、この雇用統計って実際見たくなりますよね。どこで見れるんでしょうか?
こちらです。(米国労働省労働統計局_U.S. Department of Labor Bureau of Labor Statisticsのサイト)
見て、たしかに雇用統計(Current Employment Statistics)って書いてあるしまぁなんとなく分かりそうな気がするけどもうちょいグラフにならん?って思いませんか?
なのでこちらを参考にするといいと思います。
グラフで分かりやすいやんけ!って思いませんでした?
……でもなんかグラフ2つありませんか?
そう、米国雇用統計は、雇用の統計といえど、複数の指標を作成しているのです。
因みにハイライトとしてまとめた資料も公表しており、こちらはグラフでまとまっています。
指標一覧
- 失業率 ※1
- 非農業部門就業者数(Non-farm Payroll:NFP) ※2
- 建設業就業者数
- 製造業就業者数
- 小売業就業者数
- 金融機関就業者数
- 週労働時間
- 平均時給
他にもサービス業、公共事業など業界別の就業者数が公表されています。
※1_失業率:軍隊従事者、刑務所の服役者などを除いた、16歳以上の就業者を労働力人口とします。なお、求職活動を諦めて過去4週間以内に求職活動をしなかった人は、労働力人口から除外します。
計算方法は、米国内の失業者数を労働力人口(失業者数+就業者数)で割って算出し、増減とともに公表するものが失業率になります。
※2_非農業部門就業者数:農業部門を除く産業分野で、民間企業や政府機関に雇用されている人の数です。自営業や農業従事者は調査対象に含まれません。
非農業部門に属する事業所の給与支払い帳簿を基に集計しています。対象事業所は約40万社・従業員数約4700万人で、全米の約1/3を網羅していると言われています。
雇用統計情報はいつ更新されるの?
実はこの雇用統計、毎月(毎月第1金曜日)更新されているんです。
月に1回は更新されるので、日本にいながらにして、アメリカの経済動向が定期的に分かる、ありがたい指標なのです。
事前予想?ADP雇用統計ってなに?
2006年からADP雇用統計というのも、公表されるようになりました。
アメリカの大手給与計算アウトソーシング会社であるADP(Automatic Data Processing社)が約50万社の顧客を対象に毎月雇用者数の動向を調査したものです。
ADP雇用統計は毎月第1水曜日に公表されています。
米国労働省労働統計局の公表の2営業日前に公表されますので、事前予想のような形で近年は重要視されています。
この事前予想がまた曲者です。
ADP雇用統計=雇用統計なら、金融市場の変動は小さいです。まぁ予想通りの指標だねってなるからですね。
でも、ADP雇用統計と雇用統計の結果が大きく乖離していたらどうでしょう。やはり信用されるのは民間より米国労働省労働統計局の公表した雇用統計のほうですので、予測が違ってくるぞということで慌てて市場に動き出すので、金融市場の変動も大きくなります。
個人的には長期的な株式投資をしている場合には、ADP雇用統計はあまり気にしないでいいかと思っております。
FXやデイトレードを行う方はADP雇用統計まで気にしてトレードをすべきかと思います。
雇用統計の情報をまとめ
雇用統計の情報を以下にまとめておきます。
発表時期 | 原則として毎月第1金曜日 |
発表時間 | ニューヨーク現地時間、8:30発表 夏時間:日本時間21:30 冬時間:日本時間22:30 |
発表機関 | 米国労働省労働統計局 (U.S. Department of Labor, Bureau of Labor Statistics) |
調査対象期間 | 毎月12日を含む1週間 |
調査対象 | 全米の約16万の企業や政府機関のおよそ40万件のサンプル |
見やすいグラフ | yahoo!ファイナンス |
ADP雇用統計の情報まとめ
ADP雇用統計の情報もまとめておきます。
発表時期 | 原則として毎月第1水曜日 |
発表時間 | ニューヨーク現地時間、8:15発表 夏時間:日本時間21:15 冬時間:日本時間22:15 |
発表機関 | ADP(Automatic Data Processing社) |
調査対象期間 | − |
調査対象 | 約50万社の顧客(会社)の2300万人以上の給与データ |
見やすいグラフ | yahoo!ファイナンス |
毎月チェックは厳しいぞ!雇用統計!
毎月更新されますので、マジでトレードで飯食ってますって人は毎月必見です。
が、余剰金で投資やってますという方は、3ヶ月に一度のチェックレベルでいいと思います。
いやいやもっと長期で投資は育ててますって人は年1回見るとするなら、ジャンソンホールの直前、7月の雇用統計あたりを狙って見ると良いと思います。
ジャクソンホールに関しては以下の記事で紹介していますので、ご参考にどうぞ。
前述の通り、米国連邦準備理事会(The Federal Reserve Board)も同じ数値を指標にしています。
ですので今後の景気がどうなるか予想してその年の後半戦を臨んでみてはいかがでしょうか!?
楽しく投資していってください!!
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