東証の市場区分が2022年4月から変更だってばよ!!(元ネタ)
前回はなんで変えるの?ということにフォーカスしましたが、今回はそもそもグロース、スタンダード、プライムってどう違うの?という三区分についてフォーカスしたいと思います。
グロース、スタンダード、プライムについて
グロース | スタンダード | プライム | |
英名 | GROWTH | STANDARD | PRIME |
イメージカラー | 緑 | 赤 | 青 |
概要 | マザーズの後継 | 日本で成長し、中核をなしている ベーシック | グローバルな企業 |
流通株式時価総額 | 5億円 | 10億円 | 100億円 |
備考 | 成長可能性や計画を示していること |
グロースに関しては上場の際に、成長可能性や、その成長の計画を示す書類も必須で必要になってきます。
ここで注目すべきなのは、流通株式時価総額です。
プライムでは、100億円が条件の一部になっております。
二区分だった時、東証一部の条件は10億円なので、かなり厳しい条件です。
流通株式時価総額ってなんだ?
名の通り、世の中に流通している株式をすべて集めた時価合計金額です。
例えば、あなたが会社の社長だとして、100株発行しているうち、30株を保有しているとします。社長なのでその30株は絶対に流通させないとします。そうすると残りの70株しか流通しませんよね?
その残りの70株分で計算します。1株100円だとしたら、時価総額は70×100=7,000円です。
株式発行数 | 100株 |
流通株式数 | 70株 ※30株は社長保有で固定されている為 |
株価 | 100円 |
流通株式時価総額 | 7,000円 |
というわけで、このように流通している株式を全部集めて、時価が100億円にならないとプライムにはなれない訳です。今までより、ゴールを目指してほしいとのことですが、すごい険しい道を示しますね。
2022年4月から各上場企業はどうなるの?
今まで一部、二部にいた上場企業はそれぞれグロース、スタンダード、プライムに振り分けられますが、すでに上場していた企業には、経過措置も取られます。
新しく変わる区分の各基準を提示した上で、上場企業に個別で希望を聞いています。なので、一部条件に満たない場合でも要望が通っている場合があります。(その場合は計画書の提出が必須とのこと)
2021年の9月〜12月に上場している企業(3777社)に希望を聞いて、集計した結果が以下です。
一部 | 2185 |
二部 | 1132 |
グロース | 460 |
合計 | 3777 |
プライム | 1841 | |
スタンダード | 344 | ※プライムの適合資格を持ちながらスタンダードを希望した企業 |
スタンダード | 1477 | |
グロース | 459 | |
合計 | 4121 |
表がキレイじゃないなーって思った方いらっしゃるかと思うのですが、そもそも外側の円と内側の円とで合計数が異なるので、キレイになんねぇよ…というのが本音です。
上場した会社が増えました。良いことですね。
中でも注目なのは、プライムの適合資格がありながらも、スタンダードを選択している会社かなと思います。
なんでプライム適合資格があるのに、スタンダードにしたの?
プライムになるには、各定量化された資本や流通株式時価総額等以外に、ガバナンスコードも改定されており、そのガバナンスコードにも適合しなければなりません。
このガバナンスコードも厄介なので、そのガバナンスコードに適合させるために対応するよりも、経営に集中したい!という選択したのではないかと思います。
他にも理由はあるかと思いますが、いずれも、経営に集中する為にした選択かと思うので今後伸びる可能性のある会社が多いのではないかと思います。
ガバナンスコードってなに?
ざっくりいうと、こうしたらどうか?という企業指針を示したものです。経営判断の視点なんかにも触れています。
ガバナンスコードの詳細はいつか記事でしたためるとして、ガバナンスコードは3年ごとに定期的な見直しがあり、3年ごとの更新のたびに適応させるのがしんどいって思う企業も多いと思います。
ガバナンスコードの内容は基本原則、原則、補充と細分化されており、プライムの場合はすべてに適応していないといけませんが、グロースは基本原則のみで良いなど、区分によって基準が異なっております。
各区分の基準を満たしていない企業があるの?
各上場企業に希望を聞いて、一部条件に満たない場合でも要望を通している場合がある、と書きました。
そうなんです。今回市場区分の変わり目ということで、一部基準に満たしてない会社も各区分にいます。
中でもプライム区分に条件を満たしていない企業が多くいます。
いきなり条件が厳しくなりましたので、その条件を満たす為の計画書を作成し、その計画書を東証が確認、審議し、OKってなった会社はプライムです。
プライムの条件を満たしていない会社は617社あり、その内の321社がスタンダードを選択しました。残りの296社は計画書を提出し、プライムに残っております。
これは計算が合ってます!いいことですね。
プライムの条件を満たしてない会社 | 617社 |
スタンダードを選択 | 321社 |
計画書を提出し、プライムに残留 | 296社 |
では、条件を満たしてない会社は、どのような条件を満たしてないのでしょうか。
流通株式時価総額 | 217社 |
流通株式比率 | 36社 |
売買代金 | 84社 |
合計 | 337社 |
296社の内、満たしてない条件の会社は337社あります……。1社が2つとか3つとか条件を満たしてない項目が複数ある場合があるので、会社数より増えているんですね。
この数字で、流通株式時価総額がネックなんだろうなっていうのが分かりますね。
尚、296社の全ての会社は、計画書の提出をしており、いつになったら条件を達成できるのか?も必ず記載しています。
1年未満 | 12社 |
1〜2年 | 23社 |
2〜3年 | 83社 |
3〜4年 | 46社 |
4〜5年 | 33社 |
5年〜 | 20社 |
このように大体3年くらいで達成できそう、というのを計画書で提出している企業が多いみたいですね。
1〜2年で達成する企業は少なく、3年以上かかると計画している企業がほとんどです。
尚、今回は市場区分が変わるのでこのように経過措置を取りましたが、2022年4月以降に上場する場合は各区分の条件で審査しますので、経過措置はありません。
2022年4月以降に区分変更したい場合も、各区分の条件で審査をします。
TOPIX(東証株価指数)はどうなるの?
日経平均株価 | 東証一部の中から225銘柄を選定した平均 |
東証株価指数 | 東証一部全ての株価の平均 |
今まで東証一部に上場している企業の株価の平均がTOPIXでした。
今後はどうなるかというと、プライムに上場している企業の株価を平均したものがTOPIXになります。
ただ、いきなり変更はしません。
TOPIXのウェイト逓減のスケジュールが組まれていまして、プライム区分=TOPIXになるのは、2025年1月頃の予定です。
もし、その時まで流通株式時価総額が100億円ない会社は、省かれます。
個人的に今後のTOPIX指数が気になります。
プライム区分には、流通株式時価総額100億円以上の企業しかいないことになります。
その区分の株価と日本の中核を担う、スタンダード区分の株価の平均の乖離が広がると思います。
今までもそうでしたけど、何やら偉い人たちは景気良さそうだなー。(私は景気の良さを全く感じない)みたいな構図がますます顕著になりそうだと懸念しています。
今回の区分の細分化及び規格の厳格化、定量数値の明示はかなり良い仕事だと思います。
ただ、その指数で今後日本経済を語るのは少しどうだかなと思います。
日経平均や、TOPIXではなく、中小企業を包括した数値で語らないと、日本の中小企業が取り残されてしまうような気がします。
こんな浅慮が杞憂になればいいと切に思います。
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